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コラム
          コラム No.21

          車内音デザインの実現手段

          2014.8.18


          前回のコラムでは今の車の音は「学校給食」のようなものであり、ユーザーに選択の自由がな
          いことを指摘しました。また、将来は車内音を自由に選べるようにしたいと述べましたが、問
          題はそれをどのようにして実現するかということです。

          車の音を変更するには大きく分けて機械的手段と電気的手段(電子的手段と言ってもよい)が
          あります。機械的手段というのは、例えばエンジンの形式(気筒数や気筒配列など)を変える
          とか、マフラーを替えるとか、吸気音をダクトで車内に導くとかいろいろあります。また、電
          気的手段というのは何らかの電気信号をスピーカーから音に変換して出すというものです。

          機械的手段についてはこれまで様々な形で実現されていますが、前回述べたように自由に選択
          できるように設計するとコストや生産性の問題が生じ、大量生産になじまないものでした。ま
          た、機体的手段は音を簡単に変更できないことも欠点でした。

          一方、電気的手段では電気信号発生装置やアンプ・スピーカーが必要になりますが、アンプや
          スピーカーはカーステレオのものを共用できますから、機械的手段に比べてコストや生産性の
          面で優れています。音の変更も電気信号を変えることによって簡単にできます。電気的な音に
          ついてはリアリティに欠けることを嫌う人もいますが、最近はかなり改善されてきましたし、
          エンジン音とは全く違う概念の音を出すことも可能です。

          人の好みは十人十色と言いますが、音の好みもその通りです。音楽の例を考えるとよく分かる
          と思います。ある人たちはクラシック音楽が好きですが、別の人たちはロックやポップスの方
          が好みです。また、同じ人でも状況によって聞きたい音楽は変わります。

          車内音も音楽と同様です。運転する人によって好みは異なりますし、走行状況(場所、時間、
          速度など)によっても聞きたい音が変わります。したがって、音を簡単に変更できることは重
          要な機能です。

          以上の理由から今後は電気的手段の方が主流になると思われますが、既に海外では電気的手段
          によって車内音を変更可能にする動きがあります。

          例えば2013年に発売されたフランスのルノー・クリオR.S.という車は電気的手段でエンジン
          音を出す機能があり、7種類の音から選択できます。また、2014年発売の日産スカイラインや
          BMW i8は電気的手段によってエンジン音を付加し、車内音を演出しています。ただし、音の
          選択はできません。

          今後、HV、PHV、EV、FCVなど電気モーター駆動の車が増えてくると予想されますが、それ
          らの車は従来のエンジン駆動の車とは音が大きく異なります。それを静かであると評価するか、
          物足りないと感じるかは人それぞれです。いずれにしても、もはや「学校給食」は通用しませ
          ん。

          さらに電気的手段の場合は音のコンテンツをデジタルデータとしてインターネット配信するこ
          とが可能です。音のコンテンツとしてはエンジン音もあるでしょうし、エンジン音以外の音も
          考えられます。



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