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サウンドデザインラボ合同会社
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●コラム

 

 

コラム No.20

今の車の音は学校給食と同じ

2014.7.18

 

このコラムは久しぶりに書きます。およそ2年前から中断して

おりまして申し訳ありません。この2年間は車の音の分析調査、

スマホアプリの開発、海外研究機関の技術指導などを行ってお

りまして、忙しかったためというのが言い訳です。     

    

今年になってようやく時間の余裕が持てるようになりました。

別の言い方をすれば仕事が減って暇になったということですが、

それでもいろいろな活動はしております。それは自動車関係が

多いです。例えば今年から自動車技術会という学会の音質評価

技術委員会にオブザーバとして参加しておりますし、様々な会

社や大学との交流もしています。    

    

そういう中で、当社の今後の目標が段々明確になってきました。

それは自動車の車内音のデザインビジネスです。もっと具体的

に言うとユーザーが車内音を自由に選べるようにし、様々な音

のコンテンツを当社のようなサウンドクリエータが提供すると

いう仕組み作りをすることです。

. 

現在車の音は(以下では車内音に限定)メーカーの長年の研究

により、かなり満足できるレベルになっていますが、ひとつだ

け難点を挙げるとすればユーザーが音を選べないことです。例

えば、プリウスを買った人は車体の色や内装はいろいろな種類

から選ぶことができますが、音は選べません。

.

先日某自動車メーカーの方が当社を訪ねて来られて車の音につ

いての意見交換をしたときに私は「今の車の音は学校給食と同

じようなものだ」と言いました。それはユーザーが車の音を選

べないことを学校給食のメニューを生徒が選べないことに例え

たものです。

.

学校給食はなぜ単一メニューなのかというと、コストや栄養管

理などの面で作る側が楽だからです。それでは大学の学生食堂

や会社の社員食堂はなぜ単一メニューでないのかというと、食

べる人の好みや要望の方を重視しているからです。

.

では、なぜ自動車メーカーは車の音を選べないようにしている

のでしょうか。その理由は下記のように考えられます。

1)「ユーザーは車の音(音質)にこだわりを持っておらず、

静かであればよいと思っている」とメーカーが考えている。

2)車の音を選べるようにするためにはエンジン、マフラー、

吸気サイレンサー、車体の遮音・吸音材などいろいろな部品を

選択できるようにしなければならず、コストや生産性などの問

題が大きい。

.

しかし、上記1)は正しくありません。確かに大半のユーザー

は車の音にこだわりがないかもしれませんが、ユーザーの全員

がそうではありません。スポーツカー好きの人はエンジン音に

こだわりを持っています。したがって、メーカーもそれに対し

て応えようとしています。例えばトヨタ自動車のレクサスLFA

やトヨタ86は音質創りに相当力を注いで開発しています。

.

また上記2)は全くその通りでした。大量生産するメーカーで

は対応できないため、音にこだわりが強いカーマニアは自分で

改造していましたが、そこまでお金をかける人は極めて少数派

でした。ところがこれからはその状況が変わりつつあります。

それについては次回のコラムで述べたいと思います。

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