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コラム
コラム No.16
車両接近通報音のデザイン
2010.10.29
昨年(2009年)国土交通省はHV(ハイブリッド車)やEV(電気自動車)が低速走行時に静か
過ぎて歩行者が気づきにくく危険であるということから、車両接近通報音の付加を近い将来に
義務付ける方針を決定し、今年の初めに接近通報音のガイドラインを発表しました。
現在はそのガイドラインを満たしていれば接近通報音を出してもよいことになっています。そ
こで接近通報音を出す装置が自動車用品メーカーからいくつも発売されています。
さらに今年8月からはトヨタ自動車がメーカー純正のHV用接近通報音装置を販売するようにな
りました。また、EVを販売している三菱自動車やこれからEVの販売を予定している日産自動車
も、接近通報音装置を発表しております。
これらの接近通報音装置の音を調べてみますと、大きく分けて三つの系統に分類できると思い
ます。それは擬似エンジン音系、擬似モーター音系、創作音系です。この中でどれがよいかは
一概には言えません。同じ系統の音でも音のデザイン次第で大きく異なるからです。また、人
の好みは十人十色ですし、さらに社会的な評価は時代と共に変わるからです。
ただし、どの系統の音でも車両の走行を想起しにくい音はよくありません。そもそも接近通報
音の目的は歩行者に車両の接近を知らせるためのものですから、何か分からない音は不適当で
す。また一般的には保守的な人が多いので、いくら素晴らしい音でも世の中の人が聞きなれて
いない音は始めのうちは受け入れてもらえないことが予想されます。同じことは音楽、絵画、
ファッションなどにおいて過去にいくつも例があります。
現在、トヨタ自動車が発売している接近通報音装置の音はどちらかと言うと未来志向の創作音
系の音ですが、インターネットで調べてみるとあまり評判がよくありません。これなどは正に
上記のケースに当てはまると思います。インターネットではいろいろなコメントがありますが、
意外と擬似エンジン音を要望する意見が多いように思いました。
万人が満足する接近通報音のデザインは簡単ではありません。自動車メーカーが提供する純正
装置のプリインストール音だけではユーザーは満足しないと思われます。おそらく将来は携帯
電話の着信音のように接近通報音もユーザーが音データをインターネットからダウンロードし
て自由に替えられるようになるでしょう。
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