エンジン音プロジェクト1

エンジン音快適化プロジェクト

（自動車のエンジン音は弦楽器の音と同じ特徴があった ! ）

１．はじめに

弊社はこの度中央大学理工学部 音響システム研究室 教授 戸井武司様と共同で自動車の

エンジン音が人間に与える影響を調べるプロジェクトを始めました。

自動車のエンジン音は一般に騒音と見なされ、音量が法律で規制されています。しかし全て

の人がエンジン音を騒音と感じているわけではありません。車が好きな人にとってエンジン

音は決して嫌な音ではなく、場合によっては快い音楽のように聞こえるようです。そのためエ

ンジン音を楽器の音になぞらえたり、特定の自動車メーカーのエンジン音についてそのブラ

ンド名を冠して◯◯ミュージックや◯◯サウンドと呼ぶことがありました。また車の音を収録し

たCDが沢山販売されていますので、それを買ってエンジン音を聴く人がいると思われます。

近年EV（電気自動車）やHV（ハイブリッド車）が普及し始めています。これらの車はエンジン

音を全く出さないか、もしくは低速走行時に出さないことが特徴です。それを長所と捉える見

方もありますが、新たな問題も明らかになってきました。すなわち歩行者が気付きにくいこと

や運転の楽しさが減ることなどです。前者に対しては世界的に対策が検討されており、日本

では接近通報音と呼ばれる音を電子的に付加して対応することになりましたが、後者に対し

ては現在自動車メーカーが対応策を模索している最中です。

このように自動車のエンジン音は単なる騒音ではないと思われます。では音としてはどんな

特徴があるのでしょうか。エンジン音は人間にどのような影響を与えるのでしょうか。心地よ

い音の代表である楽器音と騒音の代表のように見なされているエンジン音とは何が違うの

でしょうか。残念ながら、それらについてこれまでは科学的に調べられたことがありませんで

した。

本プロジェクトは自動車のエンジン音をより快適にすることを目的とし、これまで我々が経験

的に感じたり自動車評論家などが述べたりしていた音の印象や影響を科学的に解明するこ

とを目標としています。そのため様々なエンジン音を用いた音響心理実験や生体情報計測

実験を行い、エンジン音が人間に与える影響を調べました。さらに自動車の音と楽器音との

比較も行いました。その結果大変興味深い結果が得られましたので、ご紹介したいと思いま

す。

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